FLOWER! 第18話 ~期末試験 其の五~
こんにちわ~
全然進まなくてすいません…
では、本編どうぞ~
「FLOWER! 第18話 ~期末試験 其の五~」
「勝ったのはミルちゃんか~お疲れ様ー!」
「二人ともすごいよー」
「…でも…ミルちゃん、嘘ついてたよね…」
「うん…謝ってはいたけど…ねえ」
決着がつくと、賛美の声にまじり、ミルに対する不満の声も聞こえてきた。
そのことに顔を青くして、しょんぼりと下を向くミル。
しかし、ヤヅルはそんなこと聞こえてもいないようで、心配そうな顔をした。
「ミルちゃん!?どしたのそんな暗い顔して…」
「え…?」
ミルは予想外の言葉にびっくりして顔をあげる。
「わ…私、昔から本気の勝負事になると性格悪くなって…その、今回も嘘ついちゃったし…」
ライトはその言葉にああ、となる。
そういやあいつ、昔から勝負中にちょっと騙したり口調強くなったりしたこともあったな…
ま、ズルしたり相手に危害を加えたりとかはしなかったけど。
しかしヤヅルは不思議そうに首をかしげる
「え?ミルちゃんは嘘なんかついてないよ?だって、あたしが深く考えないで勝手に勘違いしただけでしょ?」
「え…」
ヤヅルの言葉に顔をあげるミル。
ヤヅルは、悔しそうだが、清々しい顔で微笑んでいた。
「負けちゃったのはすごい悔しいけど…やっぱ、ミルちゃんは強いね!ミルちゃんに敵うようにあたしももっと練習するよ!」
ミルは少し目を潤ませ、
「ううん、ヤヅルちゃんもとっても強かったよ!!ヤヅルちゃんが相手でよかった!」
と言った。
「えっへへ、そう言われると照れますなあ」
「えへへ…」
二人の雰囲気を見て、ギャラリーからの不満は聞こえなくなった。
そこで、カザキが「二人とも、そろそろ~」と言った。
「あ、はい!」
「はいはーい!」
二人が向かい合うのを見、「礼!!」号令をかけると、二人も、「「ありがとうございました!!」」と頭を下げた。
湧き上がる拍手に包まれながら、二人は戻ってきた。
「ミルたーーーーん!!!すごいにょ!!すごかったし、なによりもかわいかったにょーーー!!」
そう叫んでカラーがミルに飛びつく。
「わあ!びっくりした~!えへ、カラー君ありがとう~」
「疲れただろうから、俺っちのひざまくらでも…ぎゃん!!」
「どさくさにまぎれてセクハラまがいのこと強要すんなこのクソ猫!!」
「ネ、ネスたん、もしかして…妬いてる?」
「ぶっとばす!!」
…いいよな…終わったやつは呑気で…
和やかな雰囲気の中、まだ試験を受けていないライトは1人だけ、とてつもない疎外感に見舞われていた。
それに気づいたカラーが、にやにやしながらライトの肩に腕を回す。
「なになに~ライたん、顔色悪いにょ~?緊張してるにょ~?」
「うわあ超うぜえ!超殴りてえ!」
「えええ、理不尽だにょ~!でも、心配しなくてもライたんは大丈夫だにょ?」
「なんでだよ!まだわかんねえだろ…」
「だいじょーぶだいじょーぶ!なんたって、四天王のネスたんに攻撃できたんだにょ?それに、何度も練習してたじゃ~ん」
「う…まあ…それはそうだけど…」
「あとは、勝つのに必要なのは集中力と気合だにょ!ふぁいと!」
「その集中力をかき乱しているのはお前だろうが!!」
「ええー!?」
その様子を、ネストはとても面白そうにみていた。
それに気づいたカラーが、ミルに耳打ちする。
「…ねえミルたん…。なんかネスたんがめちゃくちゃ楽しそうなんだけど…なんでかわかる?」
「(…あの顔は…絶対なにかたくらんでる顔だけど…ほんとに、すごく楽しそうだから…黙っておこう。)うーん…わからないかな…」
ネストは、ライトをみつめながら、ひたすらにやついていた。
カラーの励まし(?)により少し気持ちの和らいだライトだったが…
待てども待てどもライトの順番は回ってこなかった。
そしてついに…
「では、まだ呼ばれていない2人、前にでてくださ~い」
最後の2人のうちの1人になってしまった。
ライトは立ち上がり、冷や汗をかくミルとカラー、膝を叩いて爆笑しているネストを一瞥し、無感情の顔で「…いってくる」といった。
そして2人が並ぶのをみると、カザキが手をあげた。
「これより、下総蕾都対、柴葉凛久(サイバ リク)の試合を開始します!両者、礼!!」
「「よろしくお願いします!!」」
そこで漸く、ライトはうつむいていた顔をあげた。
目の前に立っていたのは、ヘッドフォンをつけ、眼鏡をかけた男子生徒だった。
サイバ…か…あんま関わったことねえな。
たしか、窓際の席で、いつもパソコン弄ってる奴だったよな。
…つーか、これから試験なんだから、ヘッドフォンくらいとれよ…
ライトが心の中で愚痴を言うと、リクが口を開いた。
「…音量は小さいからお前の声は聞こえてる。特に問題はねえよ。」
「…は!?」
今…俺、声にでてたか!?
思っていたことをぴたりとあてられ動揺するライト。
まさか、こいつ超能力でも使えるんじゃ…
そう思っていると、またリクが口を開く。
「声にはでてない。あと、超能力も使えない。表情とか目線をみればたいていお前が何考えてるのかわかる…」
「ま…まじかよ。」
「でも…たいていの奴はそれで大体の事はわかっても、その一歩先まではわからない。だが俺みたいな頭のいい奴はその先まで理解できる。特に、お前みたいな馬鹿は考えることが単純だから読み取りやすくて助かる。」
………………いま、こいつ、なんて言った…?
「俺みたいな頭のいい奴」はこのさいどうってことない。
たしかにこいつの成績は、ネストに次いでクラス二番だ。
その、後…
「お前みたいな馬鹿」…?
聞き間違いの可能性も考え、念のため聞き返してみる。
「…いま…お前、俺の事、なんていった…?」
すると、眉を顰め、さも面倒くさそうに、
「だから、「馬鹿」って言ったんだよ。お前、たしか成績、学年80番にも載ってなかっただろ?練習授業も見てた限り失敗ばっかで、いつもお前と一緒にいる神威とかいう女のほうが全然頭のよさも実力もあるだろ。ああ、なんだ…怒ったのか。それは悪い。嘘をつくのは苦手でな。」
と吐き捨てた。
しかしリクの声はとても小さく、ぼそぼそとした喋り方だったので、少し離れたところにいたカザキには聞こえず、「二人とも~そろそろ『花』をつくってね~」と呑気に手を振った。
リクは「はいはい」と小さく返事をし、覇気のない「開眼」で蔓を出現させた。
銀色の光の粒子が飛び交い、電波に包まれたシルバーホワイトの花が現れる。
ライトも「開眼」をし、蕾のついた深緑の蔓を幾つも繰り出した。
「『開花』!」
リクが花を開花させる。
「『壱零科(コンパニズム・サイエンサー)』…」
「『鞭蕾(ウィップバット)』」
しかしライトは『花』を形成させぬまま、最終ポジションについた。
ポジションについた2人を確認し、カザキが「試合開始!」と手を下げた。
早速リクが攻撃をしようと構えるが、そこで、ライトが『花』を形成させていないことに気づく。
「…は?お前何してんの…?まさか、それで戦うつもりかよ…?まさか、『花』をつくることすらできなかったのか…?はッ、まじかよだっせ…。ま、そしたら、今出てる蔓、全部ぶっ壊して、さっさと終わらせ」
パアアンッ!!!!
リクは、最後までその言葉を言うことができなかった。
なぜなら、一瞬でライトの蔓が、リクの『花』から出ていた蔓や蕾を、「全て」破壊したからだ。
「……は?」
そこでカザキが、思い出したように、「あ、そうそう」と手を打った。
「リク君、ライト君はね、『花』をつくらなくても攻撃ができるいわば「特例」なの~。だから、特別ルールとして、ライト君と戦うときは、今ライト君が出してある蔓を、全部壊したらリク君の勝ちってことになるの~そこのところ、よろしくね~」
「…は!?「特例」…?「花を作らなくても攻撃できる」…?なんだよそれ…」
信じられない、というような顔のリク。
そんなリクを見て、今まで下を向いて表情を現さなかったライトが、顔をあげた。
「…なあ、頭のいいサイバ君よお…」
その顔は…____
笑っていた。
「始まる前、さんざん馬鹿にしてた自分より格下の人間が、自分の考えの範疇をこえた「特例」っていう存在だってわかったわけだけど…。ぶっちゃけ、どんな気持ちなの?悔しい?驚いた?生憎、俺はお前みたいに、相手の考えてることは読み取れないんだよな~。だって俺…
『馬鹿』だから。」
「…てめぇ」
続く!✿
《新キャラプロフィール》
名前:柴葉 凛久(サイバ リク)
ヘッドフォンをつけ、眼鏡をかけている。右手にはリストバンドをしている。
非常に自信家な性格で、頭の悪い人間が嫌い。普段は無口だが、そのような人種には、抉るような毒舌を吐く。
電子機器に強く、プログラミングが得意。
昔は、パソコンばかりいじっている自分の、周囲からの評価(人の目)が気になり、観察していたため、表情や仕草、目線などで人の思っていることを恐ろしいほど正確に当てる、「読心術」を習得した。
名前の由来:「サイバー」、「エレクトリック」から。
さてさて、また濃いキャラのご登場ですw