Welcome to the garden of the story

どうぞゆっくりしていってください

FLOWER! 第14話 ~期末試験 其の一~

 

 

 

「ま、まじ…かよ。あたった!?」

 

 

ネストの鎖に蕾がぶち当たり、木端微塵とはいかなかったが、荒く砕けた。

 

 

「おおおおおおお!!!ライたんの蕾があたったにょ!!やったーーーー!!」

「おめでとうライト!!」

「ようやったなお前!」

 

手放しでほめられ、おどおどと動揺するライト。

 

「お、おう、ありがとう」

 

「よし!この調子なら期末なんて楽勝やろ。なんせ四天王のうちの技攻略できたんやからな。」

「そ、そうか…!おし!!頑張る!」

「その意気その意気!!」

 

きゃっきゃと盛り上がる四人。

 

しかし、二階で盛り上がっているのは三人だけだった。

 

 

「すげーなライト!!ネストの鎖に追いつくなんて!!」

「ね!やるじゃん!」

「ほんとほんと!!」

 

 

 

「…変だな…いくら素質があるとはいえ、初心者がネストの蕾に追いつくなんてありえない…」

「え!?どゆこと!?」

「ネストの鎖…『サウンディングリップルズ』は、ネストの意思がなくても、数回までなら『スイング・アヴォイド(自動回避)』が可能なんだ。だから不意打ちとはいえ大振りの、しかも初めて蕾を動かすライトの攻撃があんな簡単にあたるはずない。…考えられるのは…」

「ネストが『わざとあてさせた』ってこと…?」

「えええ!?なんでわざわざそんなことを…?」

 

 

そんな話をしていると、ふいにネストが二階にいるトウイたちのほうに顔を向けた。

 

…その顔は、醜悪に歪んだ笑顔だった…。

 

「ああ…なるほど。そういうことか。」

「うん。察したわ。」

「うん。わたしも。」

 

トウイとミヨとヒミは苦い顔でうんうんと頷く。

しかし、鈍いレオには何がなんだかわからず、おろおろとしている。

 

「ちょ、どーゆーこと!?なんでネストはあんな怖い顔で笑ってんの!?」

 

レオがそういうと、トウイがもの凄く苦々しい顔でため息をついてから言った。

 

 

 

 

「…ネストは、『四天王のネストに攻撃をあてられる』とライトを油断させておいて、試験で相手の強さに戸惑うライトが見たかったんだろう…」

 

 

 

「ええええええええええええ!!!???」

 

「ま、あのとんでもない負けず嫌いのネストが喧嘩で先に謝るなんて、おかしいとおもったのよね…」

「昔からネストって、自分に危害を加えた奴に、至福をあたえた後どん底に突き落としてたわよね…」

「知ってたけど、すさまじい性格だよな…」

「こええよあいつ!!まじで病んでるよ!!」

 

 

 

『誰が病んでるって?ええ?』

 

 

 

途端にネストから、強い電流のようなテレパシーが伝わってきた。

 

 

『な、なんでもないですごめんなさい!!!』

 

あわててレオもテレパシーを送り返す。

すると、ネストはさらに顔を歪ませ、

『いやぁ~明日の期末試験がたのしみやな❤』

 

と、テレパシーを寄越した。

 

 

しかし、そんなやりとりが行われているなど微塵も知らない一階のカラー達は、

「よーし、この調子で明日の期末試験、頑張るにょー!!」

「「おー!/…」」

 

と気合入れをしていた。

 

当然、二階の四人がライトに合掌していること、ネストがライトに「ご愁傷様(笑)」と念を送っていることに気づかないまま…

 

 

 

 

 

__翌日__

 

 

 

 

「は~いそれでは、いまから一学期期末試験をはじめま~す。午前中は前半戦、午後からは後半戦と称して一日中試験なので皆さん頑張ってね~」

 

 

ぴりぴりとした空間にカザキのいつも通りの緩い声が響く。

 

「ではまず最初に、高等部からの入学生のために、期末試験のルール説明をしますね~」

 

 

 

*一学期期末試験ルール*

 

 

1、一対一で行う

 

2、相手の『花』を壊した者を勝者、壊された者を敗者とする

 

3、対戦相手は公平にくじ引きで決めるが、中等部からの持ち上がり組同士、高等部からの新入生同士で戦う

 

4、対戦相手に直接攻撃する等の暴力行為をした者は失格となる

 

5、制限時間45分以内に勝敗をつける必要がある(つかない場合は引き分けとする)

 

 

 

「以上の事をふまえてくれれば、なにをやっても大丈夫よ~」

 

ルール説明がおわり、生徒たちに一層緊張が募る。

 

「それでは、いよいよはじめたいとおもいます~。」

 

そういってカザキは、「中等部組」、「高等部組」とそれぞれ書いてある二つの箱をドサリと置いた。

 

「中等部からの子たち、高等部からの子たち、と順番にやっていきますね~。えー…では、トップバッターは~…」

 

持ち上がり組の生徒たちが固唾をのんでカザキの手元を見つめる。

 

 

そしてカザキがついに、かさりと生徒名の書かれた紙を取り出す。

 

 

「え~、トップバッターは~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラー・ワクローン・ミルド!!」

 

 

 

 

「にょ!!??」

 

 

目をパチクリさせてカラーが勢いよく立ちあがる。

 

 

「ええ~早速かにょ~…緊張するにょ…」

 

といいつつカラーの顔はどこか楽しそうに歪んでいた。

 

途端に他の生徒に緊張が走る。

 

「やべえ…カラーとはいえ、四天王だし…あたりたくないな」

「絶対負けちゃうよ~…」

「あたるなあたるなあたるな…」

 

皆一斉に両手を合わせて懇願し始める。

 

 

「え~では、カラー君の対戦相手は~…」

 

 

がさがさ…

 

 

 

かさっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「音統操!!」

 

 

 

「…ほんまかいな…」

 

 

ネストは、思わず頬笑みがこぼれた。

 

 

 

 

「まっさかしょっぱなで、しかも戦(や)りたいと思っとったカラーと戦れるとはなあ…」

 

「にゃは~★俺っちもおんなじこと思ってたにょ~やっぱり俺っちとネスたんは運命で結ばれてるんだにょ!」

 

 

二人とも声色はいつも通りだが、凄まじい殺気にも似た闘争心が立ち昇っていた。

 

 

 

体育館が一気に緊張に包まれ、皆は一斉に水をうったように静かになった。

 

 

 

 

 

 

 

二人が向かい合い、定位置につくと、カザキが手を振り上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、カラー・ワクローン・ミルド対音統操の試合を始めます!!礼!!!」

 

 

 

 

 

「「お願いします!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!✿