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どうぞゆっくりしていってください

FLOWER! 第9話 ~中間試験~

 

こーんにーちはー!!

 

 

いや~この話のサブタイトルでもありますが、私にも中間試験が迫ってまいりました。

勉強する気ないですけどね。

 

 

 

 

 

 

それでは、ピリピリしたライトたちを、だらだらとお読みください~

 

 

 

 

 

 

 

「FLOWER! 第9話 ~中間試験~」

 

 

 

 

「ついに…明日かぁ…」

「…世界おわれおわれおわれ…」

「縁起でもないことゆーな…」

 

 

 

 

ライトたちは教室の隅でしぼんでいる。

 

 

トウイの家でお泊まり会をした時とは打って変わって、すっかり萎えてしまった。

 

その理由はいたって単純。

きっと誰にでもあるだろう。

 

 

 

 

 

 

そう。明日から、花紅学園では中間試験が行われるのだ。

 

 

 

ライトたち以外のクラスメートは、同様に落ち込んでいる者もいれば、少しでも点数を上げようと教科書や参考書を必死に眺め、ノートに書き込んでいる生徒もいる。

はたまた、全てを諦め、ふっきれた様子で馬鹿騒ぎしている連中もいて、勉強中の生徒たちに非難の目で見られていた。

 

ネストは余裕の表情で適当に教科書を斜め読みしているだけで、いたって変わった様子はなかった。

それを面白くないと言う輩もでてくるが、結局、成績ではネストが遥かに上回っているため、何も言えないのだが。

なにせネストはクラスでは一位、学年では二位の成績を誇っている。

 

学年でもクラスでも一位のトウイも、試験内容はほぼ頭に入っているため居眠りをしているのだが、寝顔写真をなんとか携帯に収めようと、獣と化した女子たちの殺気立ったオーラに怯え、完全に夢の中に入り浸ることはできていなかった。

 

そんなトウイをレオと双子が面白そうに観察し、屍のようなライトとカラーを、ネストが嘲笑していた。

 

 

 

「うう…やだなぁ。小学校の頃はこんなにテスト嫌いじゃなかったのに…」

 

ミルが弱々しく言う。

 

「まー…な。テストつっても、今とは比べ物にならないほど簡単だったし…」

 

ライトもため息をつく。しかしカラーは二人よりも落ち込んでいた。

顔色は悪く、いつもはくるりとカールしている襟足の一束の長髪も、いまはでろり…とだらしなく垂れ下っている。

 

「ふたりはまだいいにょ…俺っちなんか、試験範囲の10分の1くらいしか理解してないにょ…」

「おい、それはやべえだろ」

「てゆーか…俺っち、解答用紙に、本名書かないといけないから、そのせいで時間とられるにょー!」

 

ぷーぷーと文句を言っているカラー。

 

「え?お前の名前ってたしか…カラー・ワクローン・ミルドだったよな?たしかに短くはねーけど、そんなに時間かからなくねえか?」

 

ライトが不思議そうにきくと、カラーがきょとんとする。

 

 

 

「違うにょ~?俺っちの本名は、「カラー・ワクレディルオン・アレクサンドラ・べ・ルノワミール・ドロシア・橘(たちばな)」だにょ!」

 

 

「「長っっ!!!」」

 

ライトとミルが驚愕に近い表情で叫ぶ。

 

「じゃあ、わざわざ略すんじゃなくて、「橘カラー」でいいじゃねえか!!」

「いや~ワクローン・ミルドの方がカッコいいし…女の子うけもいいかにゃ~と…」

「アホか!!」

「アホだにょ!!ついでに馬鹿だにょ!」(←何故か嬉しそうに言う)

 

 

ミルは、「うるさいなぁ」という視線をむけてくる人たちに、ぺこぺこと頭をさげていった。

 

ここでお約束シーンとして、ライトとカラーはネストにハリセンぶっ叩かれるのだが、ネストは静かに立ち上がり、カラーに近づいた。

 

 

「あ、うるさくしてごめんにょ!!だからぶたないで!!」

 

だがネストは、にやりと笑い、しゃがんでいるカラーに目線を合わせた。

 

「カラー…点数が上がるまじない…教えたろうか?」

 

「ええ!!??いいにょ!?」

 

ネストは依然カラーににやにやしている。

「あぁ。ええで。ええか~?よく聞いとくんやで~?」

「う、うん!!あ、メモ取る!!」

 

急いでメモ用紙を取り出すカラーに、ネストはこう言った。

 

「『勉学の神なる者たちよ。我が頭脳となり、この身に力を与えたもう!!』…こう唱えてから答えを書くんや。そしたら点数が一気にあがるで。」

 

 

…胡散臭あ!!!

 

 

ライトは顔をひきつらせ、心の中で叫んだ。

 

しかしカラーに疑う様子はなく、まるっこい字でメモに必死に書き込んでいく。

そしてネストの手を握り、キラキラと目を輝かせた。

 

「ネスたん…有難うにょ!!俺っち…絶対いい点とるにょ!!」

「そうか…精々頑張りぃや。」

 

 

ネストは心の底から楽しそうな表情で満足げにうなずいた。

 

そんなことをしていると、休み時間が終わり、教科担任が教室に入ってきた。

各々が自分の席へと戻っていく。

 

 

席に着くと、ミルがネストに、

「ねぇ、ネストちゃん…あのおまじない、本当に効くの…?」

と訊いた。

するとネストは、にやりとニヒルな笑みを浮かべた。

 

「嘘にきまっとるやないかwあんなんで点数上がったら誰も苦労せんわwww」

 

ミルは、「やっぱり…」というような表情を浮かべ、カラーに真実を伝えようかしばし迷っていたが、ネストが心底楽しそうだったので、黙っておくことにした。

 

 

 

 

 

 

__翌日__

 

 

 

「…それでは、はじめ!!」

 

監視の教員の合図で一斉に問題用紙をめくる生徒達。

 

真剣な目つきで皆シャープペンを走らせていく。

 

 

 

 

文字を書く音

 

紙をめくる音

 

時折聞こえてくる、鼻をすすったりくしゃみをしたりする音

 

窓から入ってくる緩やかな風の音

 

監視の教員が歩く音

 

時計の針の動く音

 

 

 

 

 

 

試験中ほど、普段聞きなれている音が大きく聞こえる時はない。

よって、机のずれる、ペンの落ちる、などの類いの音には、過剰に反応してしまう。

 

誰もが鋭い目つきで問題を解き進める。

試験後、どっと疲れるのはそのせいであろう。

 

過度な緊張や不安、一気に上がる集中力…

 

それに負け、放棄し、机に身体を預け、寝ている生徒も少なくはないが。

 

 

試験終了を告げるチャイムが鳴るまで、自分の力を使い尽くす…

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、世で言う試験というものである。

 

 

 

 

 

 

__数日後__

 

 

 

 

「今日だよね?試験の結果でるのー…」

 

自信なさげなミルがライトに話しかける。

 

「あぁ…もう憂鬱で死にそうだよ…」

 

同じく自信なさげに答えるライト。

 

 

しかしカラーはいきいきとしていた。

 

「俺っちは、ネスたんにおまじない教えてもらって、ちゃんと唱えたから安心だにょ!!」

 

えっへんと胸を張るカラーは、ライトとミルが同情の目で見ていることに気づかない。

嘘のおまじないをおしえた当のネストは片方の口の端を上げ、クックッと笑った。

 

 

すると、廊下から大きな声が聞こえてきた。

 

 

「中間試験の結果がでたぞおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

 

途端に教室を飛び出していく一同。

ライトたちも、とりあえず確認しにいった。

 

 

 

すでに掲示板の前は、人でごった返しており、なかなか順位を確認することができなかった。

 

のっているのは上位80番まで。(ライトたちの学年は、300人程度。)

 

辛抱強く待っていると、だんだんと人も減ってきて、なんとか掲示板の前に流れ着くことができた。

 

 

 

勿論、学年一位はトウイ、学年二位はネスト。

 

ライトはやっぱりなと思った。

すると隣でミルが歓声を上げた。

 

「やったああああ!!私、二十位だ!!!」

 

「はあ!!??」

 

 

ミルが声を上げると、周りからおお~!と感嘆の声が聞こえた。

ライトは納得がいかず、二十位を確認する。

 

するとやはり、二十位のところには「神威 御琉」としっかり印刷されていた。

 

なんだよクソ!!

 

むかむかとした気持ちを押しこめ、一応自分の名前を探す。

 

しかし残念ながらライトの名前はのっていなかった。

さらにむかむかするライト。

 

いや、わかってたけどさ…わかってたけど、悔しいな畜生!!

 

 

だが、さらにライトに追い打ちをかける出来事が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったにょーーー!!俺っち、80番だにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

「…はぁぁぁああああああああああ!!???」

 

 

 

 

ライトが驚愕の声を張り上げる。

驚いたのは周りも同じだったようでざわつき始めた。

 

 

「まじかよ…!」

「あの万年赤点、補習、再試のカラーが…!?」

「うそだろ!?俺、負けた!!」

「どうなんてんの!?」

「天変地異が起きるぞ!!」

「大地震と大津波だ!!」

「明日、きっと台風だよ台風!!」

 

 

ミルはネストに詰め寄った。

 

 

「ね…ねえ、あのおまじない、嘘じゃなかったの…!?」

「嘘やで?暗示掛けただけや。…しっかしまさか本当に点数あがるとはな…ぶったまげたわwホンマおもろいやっちゃなぁwwww」

 

 

クククと笑うネストを、ミルは冷や汗をかきながらみていた。

 

 

そこに双子とレオとトウイが登場。

 

「おー!!やっぱりトウイ一位だよ、すっげー!!流石!!」

「…どーも。」

「え、まってまって!!カラーが80番のとこにいるんだけど!!」

「え、ないよないよ!!カラーが80番なんて絶対ありえない!!」

 

 

 

こんなことが…おこっていいのか…?

 

 

 

 

 

 

 

ライトは身体が灰と化していくのを感じながら、その場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く!✿