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どうぞゆっくりしていってください

FLOWER! 第13話 ~能力開花~

こんにちはー!

 

…おかしいくらいに宿題が終わりません。

なんででしょうね。不思議です。

 

 

 

では、ほんぺんどうぞ~

 

 

 

 

 

 

「FLOWER! 第13話 ~能力開花~」

 

 

 

 

 

 

 

「ライト!!いい加減起きなさい!!もう7時よ!?」

 

 

 

いつも通り、母親に怒られるライト。

しかし、今日はいつもと違い、寝ているわけではなかった。

 

 

「…起きてるよ…」

 

不機嫌オーラMAXで、ベッドに座ったライトが呟く。

 

 

「…あんた…そんなとこ座って何してんのよ。もう着替えまで済ませて…」

「学校いきたくねえの…」

「はぁ?どうしてよ。」

「……たんだよ…」

「え?」

 

「あいつらと…クラスの奴とケンカしたんだよ!!!」

 

 

いつもとは剣幕の違うライトに若干驚くライト母。

ライトは眉を吊り上げて歯ぎしりをする。

 

 

「…たしかに俺も結構我儘言ったと思うけど…なにも本気で殴ることねーだろうに…」

 

ブツブツと言いながら先日ネストに殴られた頬をさする。

 

「…それに…ミルだってもう俺の事…」

 

 

ピンポーン♪

 

ライトが言いかけた時、丁度チャイムが鳴った。

 

 

「あら?この時間は…ミルちゃんじゃないかしら?」

「はあ!?あり得ねえって!!俺あいつにも…ひ、酷いこと言ったし…」

「いいからみてきなさい!!女の子待たせる男は嫌われるわよ!!」

 

 

ピシャリと言われ、しぶしぶライトは玄関に向かい扉をあける。

 

 

 

 

「はーい…どちらさm…」

 

 

 

 

扉を開けた先に立っていたのは、ひらひらとゴスロリのレースを風に靡かせた、紛れもないミルだった。

 

 

「み…ミル!?なんで…!!」

 

「な…なによ。なんでもなにも、いつもこの時間に来てるでしょう?」

 

ミルは平然としている。

しかしライトは驚きを隠せない。

 

「だって…俺昨日…」

 

 

ライトが申し訳なさそうになると、ミルは優しくふふっと微笑んだ。

 

「わかってるわよ、あんたの思ってることくらい。昨日も言ったでしょ?何年ライトの隣にいたと思ってるのよ。けんかした次の日、ライトってばすごい申し訳なさそうな顔して、挙動不審になるの。で、結局はぶっきらぼうに謝ってくるじゃない。…本当に性格悪かったら、まず謝ってこないわよ。まあ…昨日は流石にひどいなあとは思ったけど…どうせこうなること予想付いてたしね。私は別に、怒ってないわよ。」

 

 

 

あれだけの騒ぎを起こしたのに

こいつは全部、わかってたのかよ…

 

わかった上で、俺にここまで優しくしてくれんのは…

 

 

 

「お前くらいだよ…」

 

 

ライトは朝から泣きそうになってしまった。

ミルはやれやれといった表情でライトの頭をポンポン叩いた。

 

「さ、ライト、学校遅れちゃうから早く準備して!どうせまだ朝ごはんも食べてないんでしょう?」

「…ほんとになんでもお見通しだな…」

 

ライトが家に戻ろうとすると、扉からライト母が出てきた。

 

「も~!ミルちゃんってば本当にいい子ねえ~!!うちのライトとは大違い!!」

「あ、ライトのお母さん、おはようございます!」

「礼儀正しいしかわいいし…ライト、彼女つくるなら、ミルちゃんにしなさいね!!」

「な…うるせえな!!母さんはひっこんでろよ!!」

 

顔を真っ赤にして叫ぶライト。

するとライト母は怒りマークを浮かべ、ライトの首を肘で締め上げる。

 

「なんだとこのクソガキがああ!お母様になんて口のきき方してんだよ、ええ!?」

「いてててててて!!!!母さんギブギブ!!ちょ、骨、骨が折れるうううう!!」

 

 

朝から騒がしい下総家であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

__学校にて…__

 

 

 

「おはよ~」

「…はよっす。」

 

 

ライトが急いで準備をしたため、なんとか学校に間に合った二人。

教室にはほとんどの生徒が来ており、それぞれが二人にあいさつを交わす。

 

「みーーーーーーーるたーーーーーん!!おっはにょーーー!!今日も可愛いにょーーーーーー!!!」

 

 

どこからともなくカラーが走ってきて、ミルに抱きつく。

 

「きゃっ…!!おはようカラー君!」

 

ミルはにこりと笑みを浮かべる。

その横でライトは「俺は無視か…ま、当然だよな、昨日の今日だし。」と思うが、カラーはそんなこと考えておらず、ライトの肩に腕をまわし、「ライたんもおっはにょーーーー!!!」と微笑む。

 

「…お…おう、おはよう。」

 

照れつつもカラーにあいさつを返す。

そのことに驚きを隠せないカラー。

 

「ら…ららら、ライたんが…挨拶かえしてくれたにょおおおおおおおおおお!!!」

 

いつもは適当にあしらわれていたのに、挨拶を返してもらえたため、嬉しさのあまりライトにほっぺたをすりすりしまくるカラー。

 

「いってえな!!ほっぺた焦げんだろうが!!!」

「焦げるとかwwwww焦げるわけないにょwwwwwwww」

「(うっぜえ)」

 

 

そんなやり取りをしているとき、ライトはただならぬ殺気を背後から感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミル、カラー、おはようさん。」

 

 

 

その殺気を放っていたのは、ライトに邪眼をむける、ネストだった…。

 

「…お…おはにょう…ネスたん」

「お、おはようネストちゃん…!」

 

ネストは不気味なほどに、にこりと笑った。

 

「朝から元気なのはかまへんけど…教室の入り口で馬鹿騒ぎしたら、通行の邪魔になるからあかんで。」

 

冷たく微笑みながらそう言い放ち、あたりにブリザードをまきちらして席に歩いていった。

 

 

ネストの異様さはクラスメートも感じ取ったようで、あまりネストには触れないようにした。

 

 

「…あちゃー…ありゃネスたん、相当怒ってるにょ…」

「うん…なんか…眼がすわってた…」

「へたしたらライたん、死ぬにょ」

「…イキテイエニカエリタイデス…」

「恐怖のあまりライたんがカタコトに…!?」

 

 

 

しかし、ただ怒っているだけには見えず、ネストは何かを考えているようにも見えた。

 

 

 

 

__放課後__

 

 

 

「あの…さ、カラー。」

「ん?どうしたにょ?ライたん。」

 

ライトがおぼつかない口調でカラーに話しかける。

 

 

「…あんな事件(?)おこしておきながら…わりいんだけど…」

「??」

 

「も…もう一回…俺に…

 

 

 

 

術の指導…してくれないか…?」

 

 

流石におこがましいかと思い、若干引け腰で頼み込んでみる。

 

 

しかしカラーは二ヒッと微笑みライトの手をつかむ。

 

 

「大歓迎だにょ!!」

 

その笑顔にライトはまたも泣きそうになってしまった。

 

ったく、いつから俺はこんなヘタレになったんだよ、くそ…

 

 

 

 

 

…しかし、まだ解決しなければいけない問題が残っていた。

 

 

 

 

無論、朝から放課後まで、それも授業中も殺気を放ち続けているネストとの仲直りである。

 

 

帰りのHRになり、カザキが教壇に立つ。

そして…ついに「あの言葉」を口にした。

 

 

「え~今日は金曜日ですがー…来週から、期末試験がはじまりま~す」

 

 

 

途端に歓声につつまれる教室。

 

しかしライトは悲鳴しかあげられない。

 

 

なにしろ、一度も攻撃が発動出来ていないからだ。

 

 

…だったらまだ中間の筆記試験の方がましだ…!!

 

 

そうとさえ考えた。

 

 

しかし、先ほどカラーに術の練習に付き合ってもらえるとわかったので、少しは気が楽だった。

 

 

 

そうだ俺には四天王のカラーがついてる!!!

ははは!!そうだそうだ…

 

 

無理に笑顔を作り笑顔を浮かべ、自分を落ち着かせた。

 

 

 

そのあと、早速ライトはカラーとミルをひきつれて、体育館に移動した。

 

 

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

バチイイイイッ!!!!

 

 

「…なんで…なんでできねえんだよ…!!」

 

やはりいくらやってもライトは『花』を形成することが出来なかった。

失敗するたびに自己嫌悪に陥りブツブツと悪態をつく。

 

 

「まあまあライたん!せっかく練習再開したんだし…あきらめちゃだめにょ!」

「そうだよ!私もできることはするから…!!」

 

 

 

その言葉により、またライトは「よし!」といって立ち上がり、再び構えをとる…__

 

 

が、思いがけない声が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、花を形成することは不可能や。」

 

 

 

 

 

 

「__…なっ…ネスト!?」

 

 

 

 

いつからいたのか、体育館の扉に、ネストがもたれかかって立っていた。

しかしその表情は険しく、不機嫌なのは変わっていないようだった。

 

 

「ネスたん…なんでそんなこと言うにょ!」

 

あっけにとられていたが、先刻ネストは酷い事を言い放っていた。

頬を膨らませて反撃するカラー。

 

するとネストは気づいたように「ああ」と言い、まっすぐ立った。

 

「すまん、言い方が悪かったわ。んー…まぁ、言い方を変えるとすれば…『ライトは、花を形成する必要がない』…やな。」

 

 

 

 

「………へ?」

 

 

 

一瞬言っている意味が理解できず、まぬけな声が口から漏れ出る。

 

それはミルも同じだったようで、首をかしげている。

 

カラーは、「そんなはずはない」という顔でネストに話を聞いている。

 

「…ずっと考えてたんや。なんでライトはあんなに練習しとるのに花ができへんのか…。そんで、さっきセンセに訊いてきたんや。そしたら、「ライト君は、本当に能力が『蕾』なのかもしれないわね」って言ったんや。」

 

「あ…それ、最初の練習授業でも言われた。」

 

「ああ。でもな…そんな事例、今まで一度もないんや。」

「え!?」

 

「今まで生徒は、ずっと花を形成させてから攻撃をだしてた。せやから…そんなこと初めてで、そんなわけないやろってずっと思ってたんやが…どうやらもうそれしかなさそうやな。」

 

「そ…そうなのか…」

 

「どうりでいつまでたってもできんわけや。…せやから…その結論にたどりつけないままいつまでやっても出来んのは…悔しかったやろうな。あんなこと口走る気持ちもわからんでもないわ。…その…殴って悪かったな。」

 

顔を赤らめてぶっきらぼうに謝罪するネスト。

その態度に流石にライトは焦り、あわてて頭を下げる。

 

「いや、いやいやいや!!えと…俺も、いくらできないからって…あたり散らして悪かった…」

 

素直に謝罪しあった二人は、照れくさそうに苦笑した。

 

その様子を、ほほえましそうに眺めるミルとカラー。

 

そして、さらにその様子を体育館の二階から眺める4(正確には3)人。

 

 

「…いや~喧嘩したってきいたから仲直りさせようとしたけど…その必要なかったな!」

「ほんとね~!」

「そうだね~!」

「…それはいいけど、なんでわざわざ陰からのぞいてんだよ…。普通に一階におりればいいだろ」

「んも~トウイはわかってないなあ~!こういうのは、生温かい目で遠くから眺めてるのがいいんだよ!」

「…なんで生温かくすんだよ。馬鹿にしてるみたいになるからせめて温度を上げろ…」

 

 

 

 

 

 

そんな会話が上で繰り広げられているとも知らず、下では早速ライトが蕾を出そうとしていた。

 

 

「とりあえず…だしてみるか。」

 

すると、そこで、ネストも構えをとった。

 

「あれ?ネスたんもやるにょ?」

 

「ああ。ライトの相手をするんや。」

 

 

 

「…はあああ!!??」

 

 

 

驚愕した顔をするライト。

 

「なっ…お前、四天王だろ!?そんなやつにかてるわけねえじゃん!!」

 

「あほか。そんなんうちでもわかっとるわ。うちは、お前が、敵がいた方が攻撃できるんじゃないか思って、とりあえず花をひらくだけや。」

 

「あ…ああ。そか。そりゃ有難う…」

 

 

「…ほな、いくで。」

 

 

 

ネストとライトは構えを取り、同時に口を開いた。

 

 

「「はあっ!!」」

 

 

 

気を込めて手を広げる。

 

 

すると、ネストは凄まじい勢いで花を形成させた。

 

「え、ちょ、は!?お前つくるのはやすぎじゃね!?」

「…伊達に四天王名乗ってへんわ。」

 

 

焦ってライトも蔓をしゅるしゅると生み出す。

 

ネストは目を閉じ集中する。

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

__開眼!!__

 

 

 

 

すると花が開き、中から金属の擦れるような音とともに、鎖の形をした蔓が飛び出した。

 

 

「『鎖々波共鳴(サウンディングリップルズ)』」

 

 

ジャラジャラと音を立てて、花の蕾が絞られた形の鎖の束がライトの周りを取り囲み、空中を漂う。

 

「さて…んじゃ、この鎖に、お前の蕾で攻撃してみいや。」

 

「え!?いきなり!?」

 

「ちなみに…避けるで?」

 

「そ、そんなんあてられるわけねえだろ!!」

 

「お前が念じりゃ花は思い通りに動く。そいじゃ…

 

 

 

 

 

開始!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そう言い放った瞬間、ネストの鎖はもの凄い速さで軌道を描き移動する。

 

「校則破るとカザキセンセにむっちゃ怒られるから、うちは攻撃できへん。ひたすら鎖動かすだけやから、安心せえや。」

 

「安心できねえよ!!めちゃくちゃこええしはええよ!!」

 

 

目をぐるぐる回しながら抗議の声をあげる。

 

 

「はやくなかったら練習にならんやろ。それに、試験は来週やで。今からやっとかんと。」

 

「そ、そうだった…しかたねえ…やるか!!」

 

 

 

 

 

 

そして、精神を集中させる。

 

 

 

 

 

「(…不規則に高速で動く鎖を正確にとらえられるほど俺の目は良くない。…下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる…ということで、とにかく蕾を撃ちまくる!!」

 

 

全神経を蕾に向け、蕾のついた蔓を鞭の如く振りまわす。

 

 

すると、蔓も、鎖のように凄まじい速さで動きだす。

 

 

「おお!やるやないか!!その調子で鎖にあててみ!!」

 

 

 

「お、おう!!」

 

 

…というものの、流石は四天王。

ライトの蕾は掠りもしない。

 

 

「(…畜生。あたらねえ…)」

 

 

 

なにかいい策はないかと、思考回路を全力でぐるぐるとかきまわす。

 

 

 

すると、ある案が浮かぶ。

 

「(…こんだけやってもあたらねえってことは…やっぱりネストは、俺の蕾を避けるように鎖を旋回させている。…だったら…)」

 

 

 

 

ライトは、二本の蔓だけを素早く動かし、鎖を挟むように振り下ろす。

 

鎖は、当然のように軽くかわす。

 

 

しかし、そのかわした先に、いままでピクリとも動かなかった蕾が音速並の速さで追いつき、鎖に振り下ろされる。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

バキバキイイイイイイ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あたっ…た…?」