泥棒と警備員 Ⅳ
こんこんにちは!
クライスです!
くそ忙しい準備を乗り越えて、ついに文化祭当日になりましたー!
いや~、楽しいけど、疲れますねw
あと一気に体重が増えますww
ではでは、本編へどうぞ~
「泥棒と警備員 Ⅳ」
「……ただいま…」
くたくたになった体を引きずり、教会に戻ってきた。
「「「おかえりなさーーーい!!」」」
そして、扉を開けたとたん響いた3人の声に少しだけ安堵する。
…もし、僕のいない間にこいつらが、あの独裁国家に見つかってしまったら…
そう考えると、帰宅して扉を開けるときは少なからず緊張してしまうのだ。
「神様今日もおつかれさまー!」
「ねえねえ。今日のごはんなあに~?」
メアリーとジェシカはうろちょろと僕の周りを駆け回る。
「あー…パンと果物買ってきた…」
僕は食料の入った袋をガサリと持ち上げた。
すると、3人が顔を輝かせる。
「わーい!ごはんごはん!」
「早く食べよう神様!」
「神様いつもありがとう!」
僕は似合わない笑みを自然とこぼしていた。
…僕は、こいつらと一緒にいると、よく笑う。
なぜだろう。こいつらが幸せそうにしているからか…?
ああ、ならば、僕の罪滅ぼしになっているのか。
そう思うと、さっきとは違う笑みが浮かんできた。
…本当に馬鹿だよな。
僕のこの善意が偽物だなんて気づかずに、幸せそうに笑ってるんだから…。
___だが僕は、胸に抱えた感情の中に、『罪悪感』というものが生まれていることに、この時点ではまだ気づいていなかった
夕食を終えた頃、窓の外の赤い夕陽は沈み、あたりは暗くなってきた。
「…そろそろ寝るか…。」
夕食も終えたし、もう特にすることはないと思い、僕が床にごろりと寝そべる。
しかし、この3人がこんなに早く寝るわけない。
…本当に大変なのは、この後だ。
「ええ~!?もう寝ちゃうのー?」
「遊ぼうよ神様ー!!」
「起きて起きてー!」
と3人が僕を揺さぶってきた。
ほらきた。
こいつら、「お疲れ様」と言うくせに、いっつも仕事を終えた僕と遊ぼうとする。
疲れてるから「お疲れ様」なんだろうが!!それともなにか!?お前らは機械的に「お疲れ様」を発しているのか!?
僕は口を真一文字に結び、眉を顰めて、寝たふりを決め込む。
…すると、今朝と同じように、腹部が圧迫される感覚を覚えた。
「ぐえっ!!」
あまりにも苦しかったので、潰れた蛙のような声を発してしまった。
涙目で腹を見ると、やはりジェシカが乗っていた。しかも、その後ろにメアリーまで乗っている。
「なんでお前らはいちいち人の腹の上に乗るんだよ!!しかも、勢いよく!多数で!」
必死に抗議をすると、ジェシカとメアリーは、きょとん…という顔をした。
「…だって、神様が今朝、『寝ている人の上に乗るな』って言ったんだよ?それってつまり、『寝てない人の上には乗ってもいい』ってことだよね?」
「神様、今寝てなかったでしょー?」
「…おーまーえーらあああ!!」
僕はバッと起き上がり、その反動で2人を転がり落とす。
「きゃー!神様が怒ったー!!」
「逃げろー!!」
「鬼ごっこ!?鬼ごっこするのー?」
はあ…こいつらといると本当に苦労が絶えない。
「鬼ごっこなんかするか!疲れてるって言ったろ!!」
「あ…じゃあ神様、かくれんぼしよう!!」
グミが珍しく、遊びを提案してきた。
「…かく…れんぼ…」
…まあ、かくれんぼならそんなに走り回る必要はないし…
なにより、いつもは遠慮ばかりのグミが遊びを提案してきたことがめずらしいので、許可することにした。
「…まあ、かくれんぼなら…いいぞ。」
僕がそういうと、3人はとてもうれしそうに笑ってはしゃぎ始めた。
「やったやった!!神様が遊んでくれるー!」
「はやく外に行こう!!」
「あ、こらお前ら!!あんまりでかい声で騒ぐなよ!?」
「「「はーい!!」」」
僕と3人は静かに、教会の庭へとでた。
「いいか、かくれんぼは許可したが、大騒ぎするのと、あまり遠くへ隠れるの禁止だからな。声が届く範囲で隠れろ。わかったな?」
外の人間に僕たちがここに暮らしているのをばれないようにするために、僕は3人に指示を出す。
勿論3人はいつも通り元気な返事をした。
「ね、鬼はだあれー?」
興奮したジェシカがいう。
僕は、鬼だけにはなりたくないな…と思った。
「じゃんけんできめようよ!」
メアリーの発した提案に僕は苦い顔をする。
…僕じゃんけんは昔から弱いんだよな…
やめさせようとするが、3人はすでに、「さーいしょはぐー!!」と、じゃんけんを始めている。
ああ~くそ!もういい!勝て!僕!!
「じゃーんけーんほい!!!」
グミ、ジェシカ、メアリーは、チョキ。
僕は一人だけパー。
畜生、負けた…。
こうして僕は鬼を被ってしまったのだ。
思わずため息がでる。
「やったー!じゃあ、神様が鬼ね!!」
「ちゃんと目をつぶって、30秒数えてよー!」
「わーい、かくれろかくれろー!!」
3人は、長い間研究施設に閉じ込められていたとはおもえないようなスピードで、嬉しそうに隠れていった。
「はあ…心底めんどくさい…」
仕方なく僕は、心に「罪滅ぼしのため」と書いた紙を貼り、木に寄りかかって目を瞑った。
「30ー、29-、28-…」
…僕は、何をしているんだろう…
数を数えるという単調な作業をしていたせいだからだろうか。
僕の脳裏にハッとその言葉が横切った。
こんなところ知り合いにでも見つかったら、僕は間違いないく鉄格子の中に押し込められる。
いくら罪滅ぼしとはいえ、このままじゃ、これじゃあ…
世間的に僕の立ち位置が、危ないんだよな…
「…3、2、1、0…もういいか?」
目を開け、3人に呼び掛ける。
「「「もういいよー!!」」」
実に楽しそうな声が帰ってくる。
呑気なもんだよな…僕がこんなに悩んでるっていうのに。
…そうだ。
あいつらももうこの生活に慣れてきただろうし…
僕も、十分罪滅ぼしはしただろう。
_____こいつらを、此処に捨てていこうか。
このかくれんぼが終わったら、僕は出ていこう。
なんせ、いつこいつらといるところを誰にみられるか、分からないのだから。
一般常識もろくに知らず、実験施設に監禁されていた幼い少女達を捨てていって、無事だという可能性は限りなく0に近かったが、せりあがった不安を今から押し込めることは僕には不可能だった。
…よし、ならさっさとあいつらを見つけて、こんなくだらない遊びを終わらせて、準備に取り掛かろう。
そう決意を固めこむと、俄然やる気が出てきた。
まあ、声が聞こえる範囲ということは、見つけるのも簡単___
その考え通り、すぐさま植え込みに紛れたジェシカの黒髪が目に入った。
「ジェシカ、見つけた。」
あと2人…
「あー!みつかっちゃった!神様、見つけるの早いよお~」
「そんな簡単なところに隠れたら、誰にだってすぐ見つかるぞ。」
「次こそは神様に降参っていわせちゃうもんね!」
「は、そんなこと無理に決まってるだろ。」
____次なんて、ないんだから。
「さ、あとはメアリーとグミだな。」
ぐるりとあたりを見回すと、小さく、「カサッ…」ときこえてきた。
僕は、しめた、と思い、そのあたりにゆっくり近づく。
しかし、あたりはどちらもいない。
気のせいか…?と思い、そこから離れようとしたとき…
ガサガサッ…ドサッ!!!
「きゃあ!」
さほど背の高くない木から、植え込みにメアリーが悲鳴を上げて落ちてきた。
「メアリー見つけた…って、木の上に隠れるなんて危ないなお前…」
「えへへ、見つかっちゃった~」
あと、1人…
グミは頭がいいから、見つけにくいところに隠れそうだなと考え、僕は教会の裏へ回った。
しかし、教会の裏でも、グミは実に分かりやすく、ただ茂みにしゃがみこんでいるだけだった。
まあ、いい。
好都合だと思い、茂みをかきわけた。
「グミ、見つけた。」
「あ…見つかっちゃった!えへへ…」
グミは恥ずかしそうに笑って、立ち上がった。
僕はにやりと笑い、「さ、全員見つけたから終わりだ。帰るぞ」と、3人を教会の中へ誘おうとした。
しかし、
「ちょっと待って神様!」
グミが僕を引き留めた。
「…あ?なんだよ」
僕が振り返り、3人を見ると、3人は並び、真ん中のグミだけが手を後ろに回していた。
「…なんだ?グミ、何を持ってるんだ」
そう問いかけると、グミは待ってましたと言わんばかりに、にこりと優しい笑みを浮かべて、両手を僕に突き出した。
___いや、正確には、手に持っている小さな白い、一輪の花を突き出した。
「なんだよ…これ」
僕は戸惑い、目を瞬かせる。
すると3人は声をそろえて、言った。
「「「神様、いつもありがとう!!」」」
「…え」
突然のことに、先ほどまでの汚い思考が止まった。
「神様、いつも私たちのお世話してくれるから、なにかお礼しようって考えたの。」
「それで、神様に見つかる前に1人ずつなにかいいものを探そうって思いついたんだ。」
「でも結局…私たち2人はすぐ見つかっちゃったから、あげられるのはグミがみつけたお花だけなんだよね…」
「こんなものしかあげられない私たちだけど…これからも一緒にいてくれたら嬉しいな。」
____その瞬間、僕の中で何かが切れた。
それはおそらく、何よりも自分のことが大事、という価値観だ。
途端に先ほどまで考えていたことがどうでもよくなり、気づけばその花を手に取っていた。
「ああ…ありがとう」
ああ、僕はなんて卑怯な人間なんだ。
先ほどまで考えていた、僕のあの汚い思いはまるで最初からなかったかのように、平然とこいつらの前でいい顔をする。
何も知らない、お前たち3人。
この花の白さのように綺麗な心のお前たち3人。
お前たちは、僕がなんとかしてみせる。
守ってみせる。
だから、お前たちが僕を必要としなくなるその時まで、
こんなにも下賤で汚い僕を、
その澄んだ美しい目で、みていてくれ…
Ⅴに続く…
FLOWER! 第17話 ~期末試験 其の四~
【初音ミク (Hatsune Miku)】氷の世界【オリジナル曲】 - YouTube
↑犬丸芝居小屋さんの記念すべき1作目の動画でございます
「FLOWER! 第17話 ~期末試験 其の四~」
「よ~っし、じゃあ、はやいとこ花作っちゃわないとね!」
そう言って早速構えをとるヤヅル。
慌ててミルも手を前に伸ばす。
_____開眼!!
ぶわりと風が吹き、花弁と葉がばらばらと舞い上がっていく。
花弁が集まり、大きな花の蕾を作り上げていく。
そして、二人の蕾がほぼ同時に出来上がった。
二人は一層気を引き締め、念じた。
『開花!!!!』
ミルは桃色の、ヤヅルは薄紫の蕾を開いた。
「私の技は…『眠り花(ファンシースリーピー)』!!」
「うっわ、なにそれかわいい!!
でも、あたしも負けないよ!!あたしは、『星霜月華(アンダーミッドナイト)』で勝負!!」
ミルの「花」からは桃色の花の塊が次々と現れ、ヤヅルの「花」からは織物のようにひらひらと漂う薄紫の蔓が現れた。
「試合開始!!」
カザキの鋭い声を合図に、二人はいっせいに走り出した。
「うひゃー!さすがだこりゃ!!めっちゃ速い!」
そういいながらミルのばらまく花をよけ、攻撃を繰り出すヤヅル。
「そ、そんなことないよ!?もうすごい必死…!!」
一方のミルは冷や汗を流しながらヤヅルの攻撃を花の礫で受け止める。
カラーやネストのように派手な技や豪快なアクロバットはないが、それでも負けず劣らずの勢いだ。
「…ところでさーミルちゃん…よっと!」
「わ!な、なあに…?」
ヤヅルは不思議そうな顔をしてミルに問いかける。
「ミルちゃんの『花』って、『眠り花』っていうじゃん?それってさ、何を眠らせる花なの?」
その問いに対してミルは優しい笑みで、
「私が眠らせるのは、対戦相手の『花』だよ。触れられた『花』は、『機能停止(スリープモード)』になって、蕾に戻って消えちゃうの。」
と答えた。
「え!?まじか…じゃあ、あたしの『花』にミルちゃんの攻撃が一発でも当たったら、あたしの負けってこと!?」
「うん…まあ、言っちゃうと、そういうこと。」
「えええ~!!やっば、負けちゃうかも!!」
地面に膝をついて大げさに落ち込むヤヅル。
そのお陰で、『花』の前ががら空きになった。
思ってもみなかったチャンスに、ミルは躊躇いながらも、「ごめんね!」と言って両サイドから花を放り込んだ。
しかし、
「______…でも」
ヤヅルはすさまじい速さで両腕をクロスさせ、紫に輝く蔓の束でミルの花を散らした。
そして、ゆっくりと顔を上げ微笑んだ。
「裏を返せばそれは、『一発も当てなければ』いいってことでしょ?」
___ヤヅルが攻撃を防御した時の風圧で舞い上がったポニーテールが、元の位置に戻る前に、ヤヅルの姿は消えていた。
ハッとしてミルが頭上を見上げると、真剣な笑みを携えたヤヅルが、蔓を『花』に向け放った。
「きゃっ…!!」
間一髪のところで直撃は避けたが、ミルの『花』が嫌な音をたてた。
花びらの塊で押し返されたヤヅルは、ハイヒールの音を響かせ着地した。
「…流れ星っていうのはさ、現れてから消えるまでが、すごい早いの。『刹那』って言葉がまさにそれ。…だから_」
そういうとヤヅルはまたも姿をくらました。
…いや、正確には、早すぎてその軌道が殆どみえないのだ。
ミルは慌ててまた頭上を見上げたが、今度はヤヅルはいなかった。
…そのかわりに、今度は下から声がした。
「お願い事をする暇も、ないんだよねえ」
パアンッ…!!!
「ミルッ…!!!」
ライトの声が響いた。
ミルの『花』には、大きな傷ができてしまった。
破壊されるまでには至らなかったが、今の攻撃で5割前後のダメージを負ったのは確かだ。
「は、はやすぎる…!!!」
ミルが顔を青くして攻撃を繰り出すも、すべて相殺されてしまう。
「遅いよミルちゃん!!ちゃんとあたしのスピードに追い付いてきて!!」
それからは、ずっとヤヅルのペースに追い付けず、どんどんミルの『花』に傷がついていく。
「おい…これ、やべえんじゃねえか…!?」
「ミルたん…!!」
「ミル、ファイトや!」
ライトたちはひたすらミルを応援し続けた。
しかし、ミルの限界は近いようで、だんだんと『花』からは生気が失われていった。
「もう、一発でもくらったらアウトや…!何とかして、あの速さに追い付かな…ああ!?」
突然ネストが大きな声を上げたので、急いでミルの方を振り向くと、ミルがつまずき、転んでしまっていた。
「きゃッ…!!」
「あちゃー…こんな勝ち方はあんまりしたくないんだけどなー…まあでも、勝負だから…勝たせてもらうよ、ミルちゃん!!」
その隙に、ヤヅルが最後の攻撃を放った。
「もうだめ…!!!」
パアアアアン…!!
「…な、なんで!?」
_____大きな音を響かせ弾け飛んだのは、ミルの『花』ではなく、ヤヅルの蔓だった。
「…ごめんねヤヅルちゃん!!私…嘘ついちゃった。」
「え、ええええ!?」
突然のことに、驚きを隠せないヤヅル。
周りの生徒たちも、完全にヤヅルの勝利を確信していたはずだった。
「な、なんだ!?今、何が起こった…?」
「わかんないにょ…」
「!!あんた等、ヤヅルの『花』見てみ!?」
その声に、全員がヤヅルの『花』を振り向く。
「____あ!?」
「スリープモード…!?」
そう。
何故かヤヅルの花は、スリープモードになり始めていたのだ。
「な、なんで…!?は、まさか…嘘って…」
「うん…私、『花』に「触れられたら」っていったけど、本当は、相手の攻撃が私の『花』に「触れて」も、スリープモードになっちゃうんだ…」
軽く肩をすくませながら、実に愛らしい顔で、「てへッ」という効果音が聞こえそうなポーズをするミル。
ヤヅルは青い顔で呆然とその場に立ち尽くした。
「でもね、『触れられた』ってだけじゃ、攻撃を封じ込めることしかできなくて…完全なスリープモードにはできないんだ。…やっぱり…
触れないと…ね?」
ウインクを一つするミル。
ヤヅルは、「しまった!!」と、防御を作ろうとするも…
時、すでに遅し。
「『眠り花(ファンシースリーピー)』ーー…!!!」
ミルの花の礫が、ヤヅルの『花』を包み込んだ。
次第に『花』が小さくなっていき、最後は…
ブワアアッ…!!!!
_____桃色の花弁と、紫色の花弁が、宙を美しく舞った。
「…おやすみなさい。」
「勝者、神威御琉!!」
続く…✿
本日の珍事件
今日ですね、なんと、わたしの肩から
カナブンがでてきました
…何をいっているのかわからないと思うので、詳しく説明しますね。
主な流れはこうです↓
1、いつも通り部活に行くために学校へ向かう。
2、何か虫が飛んできて、顔にぶつかる。
3、びっくりしたが、払いのけたのでまた歩き出す。
4、バスに乗る。肩がかゆい。
5、学校に入り、部室に着く。肩がかゆい。
6、肩から「カサ…」という音がしたので、肩をつまむ。
7、何かあるので、不気味に感じ、肩に沿ってその異物をブラウスの外に落とす。
8、肩から、直径約3センチのカナブンが落ちる。
9、絶叫。
10、窓を開けて追い出す。
11、軽く泣く。
以上ですw
いや、まじで全然気づかなくて!!
友達と後輩に笑われたwww
先生が、「きっと居心地がよかったんだよ~」とか言ってたけど、カナブン、お前のことは許さん。
以上、本日の珍事件でしたw
泥棒と警備員 Ⅲ
お久しぶり…というほどでもありませんね。
こんにちは。
クライスは風邪をひいてしまい、只今声がカスカスになっておりますw
朝夕5錠、昼4錠のお薬はすごくつらいです(´・ω・`)
いえいえ、そうではなく、というかそんなことより!!!
くるりんごさん、おかえりなさあああああああああああああい!!!!
あ、お名前は犬丸芝居小屋さんになったんですよね!
「かごまないで」、とってもよかったです!
とにかく、ずっと待ってました。戻ってきてくれてうれしいです!
さて、そんなくるりんごさんの素晴らしい神曲の解釈小説もついに3話です。
更新ペースが亀並みですみません。
では、本編へどうぞ。
「泥棒と警備員 Ⅲ」
さて、傭兵番号39番、もとい「神様」が3人を引き取ってから数日後…
「神様ー!!今日は何して遊ぶー!?」
僕が気持ちよく寝ていると、遠くの方からジェシカの声が聞こえ、次の瞬間、鳩尾を凄まじい圧迫感が襲った。
「がはっ…!?」
口から空気が漏れ出て、あとからとんでもない痛みが送られてきた。
「おまっ…なにするんだよ!!」
「だって神様、ずーっと呼んでるのに起きないんだもん!」
ぼやける目を擦り、意識を完全に覚醒させると、僕の腹の上に、頬をぷくりと膨らませたジェシカが乗っていた。
要するにこいつは、日も昇っていない朝っぱらから、気持ちよく寝ていた僕の腹に飛び乗ってきたというわけか…
「…ずーっと呼んでるって…今何時だと思ってんだ…」
「え?わかんない…だってこの教会、時計ないもん!」
そういって清々しい笑みを浮かべるジェシカ。
畜生、ふざけやがって…
「お前さ…」
「お前じゃないよ、ジェシカだよ!」
額がピキッという音をたてたのが、自分でもわかった。
「…ジェシカ、早起きは確かにいいことだが、まだ寝ている人間にむかって飛び乗るのはやめろ。いいな?」
ああ、僕は今、きっとものすごい顔をしているんだろうな…
すると僕の怒りがジェシカに伝わったのか、
「うー…ごめんなさい」
そういいながらしょぼくれた顔でのろのろと僕の上からどくジェシカ。
ききわけはいいようだな。
僕は安堵のため息をつき、うなずく。
「よしよし、わかればいいんだよわかれば…ぐうっ!?」
するとまた、鳩尾になにかが勢いよくのっかってきた。
「神様おはよう!今日は起きるのはやいね!」
「……ああ…おかげで散々だよ…メアリー。」
今度は、ジェシカの後ろから、猛ダッシュしてきたメアリーが僕の上に飛び乗ったのだ。
「神様、今日はなにして遊ぶ!?」
「お前らはそれしか言うことないのか!!?」
ああ最悪だ。
こいつら、大変めんどくさい…
まあ、3人のうち1人がまともなだけいいが。
そう思いながら、こんな騒ぎの中でもすよすよと寝ているグミを見つめる。
ちっ、僕はこんな思いをしているのに1人だけ寝やがって…
すると心が通じたのか、グミがぱちりと目を開いた。
「あ…おはよう神様、ジェシカ、メアリー。」
「…ああ。おはよう」
「おはようグミ!!」
「おはよー!よく寝てたね!」
グミは目をこしこしと擦り、ん~と伸びをした。
メアリーは僕の上に乗ったまま、グミに、「ねえ、グミはなにして遊びたい!?」ときいた。
「え…んー。わたしは、みんなが遊びたいあそびでいいよ。」
「グミってば、いっつもそればっかり!たまにはグミが決めてもいいんだよ?」
「でも、ほんとに私はそれでいいの。みんながうれしいと、私もうれしいから…」
こいつ、めっちゃ達観してるな…
このなかだったら、こいつが一番大人かも。
そう思うと、小さな子供が腹に乗ってきただけでキレている僕が、途端に馬鹿らしくなってきた。
「ちぇっ…なんだよ。」
「なにがー?」
「なんでもない。」
「ふふ、変な神様~」
「んね~」
…やっぱりこいつら腹立つ。
と、まあくだらないやりとりをいつものようにする。
…何度目だろうか。
こいつらと一緒に朝をむかえたのは。
さっきジェシカがいったように、ここには時計もなければ、カレンダーもない。
第一、傭兵の僕にはあまり時間は関係ない。
「呼ばれたら任務、呼ばれたら撤退」
兎に角、時間の主導権を握っているのはあいつらで、僕には普段からあまり時計を気にする、という習慣を持ち合わせていないのだった。
……ん?時間…?
ハッと空に目を向けると、日が昇り始めていた。
「ま、まずい!!もう日が昇る!!はやくいかないと罰則くらう!!」
「え~神様、今日もお仕事~?」
「何言ってんだ!!毎日行ってるだろ!今日も遅くなるから、静かに、ばれないようにしてるんだぞ!!」
「「「はーい!」」」
毎度思うのだが、グミは信用できても、どうもメアリーとジェシカは信用できない…
と、そんなことを考えている場合ではない。
急がないとほんとに間に合わない!!
「じゃあ、い…いって…くる」
「「「いってらっしゃーい!!」」」
…まだ、「いってきます」というのが少し恥ずかしい。
母さんが死んでから、「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」のやり取りを長い間しなかった。
だって、たとえ「いってきます」「ただいま」を言ったところで、「いってらっしゃい」「おかえり」の声を返してくれる存在が、いなかったのだから…
だが、今は、たとえ子供…それも人間兵器になるところだった子供でも、ちゃんと返してくれる存在ができた。
それがなんだか、恥ずかしいような、うれしいように感じた。
こんな感情、「冷徹非道」の僕には似合わないな…
走る足を速めながら、自然と自虐的な笑みが頬に浮かんでいた。
__________
「遅いぞ!!傭兵番号39番!!常に素早い行動を心掛けろ!!」
「はあ…はあ…すみません」
僕は全力疾走したおかげで、なんとか集合に間に合った。
ち、間に合ったんだからいいじゃねえか。頭の堅いジジイだなクソ…。
ばれないように軽く舌打ちし、列に並んだ。
「今日はいつもより遅かったな、39番。なんかあったのか?」
すると、隣にいた傭兵番号25番が、いつものにやけ面で話しかけてきた。
「うるせえ道化師野郎。毎日性懲りもなく僕に話しかけんな。そんなに喋りたきゃ空気と会話でもしてろ。」
ぎろりと音がしそうなほど鋭い目つきで睨む。
こいつは、任務遂行率が僕とほぼ同じの、通称「道化師の25番」。
そして、僕とともにこの軍のなかで最も恐れられている存在だ。
25番は、とても柔和とは言い難い、胡散臭い雰囲気を醸し出す笑みを常に浮かべていた。
____そう、たとえ人を殺す時でさえ…
僕が唯一上司よりも嫌っている、クソ野郎だ。
そして何故かこいつは、何かにつけて僕に話しかけてくるのだった。
その笑顔の裏に何を隠しているんだか、まったく読み取れない…とにかく気味の悪い奴だ。
今も僕に暴言を吐かれても、まったく表情を変えず、人を食ったような態度でわざとらしく両手を肩まであげ、やれやれと首を振った。
「お~こわこわw今日も機嫌悪いなお前は」
「てめえ…マジでいい加減ぶっ殺すぞ」
僕は本気で苛立ち、さらに凄むが、25番は僕の睨みを受け流し、さらに口角を上げ顔を近づけてきた。
「できもしないくせに…。しってんだぜ?最近お前が人を殺すのをためらってること」
「なっ…!?」
なんでてめえがそんなこと知ってやがる!?
そう言おうとしたが、「おい!!そこ、騒がしいぞ!!」とう上司の怒鳴り声によりかき消された。
朝の話し合いが終わり、直ちに傭兵は任務へと向かうよう命令された。
「んじゃ、またあとでな~『冷徹非道の39番』サン。今日も頑張って人を殺そーぜw」
そう言って25番は走り去っていった。
___しってんだぜ? 最近お前が人を殺すのをためらってること___
脳裏にさっきの25番の言葉が蘇った。
「………五月蠅え…」
_____ああ、畜生。
ほんとにここは胸糞悪ィ…
そんなことを考えながらも、足は街のほうへと向いていった。
Ⅳに続く
FLOWER! ~ 期末試験 其の三~
記事に画像を載せるのってどうすればいいですか?
教えてくれる人いたらお願いします!
「FLOWER! ~期末試験 其の三~」
「なッ…」
負けを宣告されたネストが、顔面蒼白状態でその場にへなへなと崩れ落ちた。
「うちが…負け…」
ぼそりとうわごとのように呟いたネストを、すまなそうな顔で見下ろすカラー。
「…今回は俺っちの勝ちだにょ。でも、これで45勝45敗!次の試合、楽しみにしてるにょ!」
にこっと屈託のない笑顔でカラーが笑った。
それにつられるように、ネストも少しだけ笑った。
「…そうやな!落ち込んでる場合やないな…よし!」
パンっと頬を両手で軽くはたくと、カラーの手を借りて、立ち上がるネスト。
そして、互いに向き合うと、カザキの鋭い声が響いた。
「両者、礼!!」
「「ありがとうございました!!!」」
2人がバッと頭を下げると、盛大な拍手が沸き起こった。
「2人ともさいこー!!超かっこよかった!」
「おつかれー!!」
ワイワイと賛美の野次がとぶと、カラーとネストは、顔を見合わせ、小さくニッと笑った。
「カラーくんもネストちゃんも、すっごく強かったね!!魅入っちゃった!」
「ああ…そうだな。もう次元が違うわ。」
「ふふ。ライト、私たちもがんばろうね!」
「おう」
ミルとライトが話しているうちに、第2回戦がはじまった。
❀ ✿ ❀ ✿
「第7回戦、対戦相手は…」
期末試験も、なんの問題もなく進み、次は7回戦になった。
カザキが箱の中をまさぐる手を、生徒たちは真剣に見つめる。
カザキが、一枚の紙をつまみ上げた。
「『神威御琉』!!」
「え!?」
指名され、ミルが素っ頓狂な声をあげる。
「おお、お前じゃんか…!がんばれよー」
「う、うん!がんばるね!」
ライトがひらひらと手を振り、ミルが一歩前へと出る。
「もう一人は…」
皆がごくりと息をのむ音がきこえた。
「『池房 夜月朧(イケブサ ヤヅル)』!!」
「おお!あたしか!」
「イケブサ ヤヅル」と呼ばれた少女は、コバルトヴァイオレットのロングポニーテールを揺らし、勢いよく立ち上がった。
耳につけている大きな黄金色のイヤリングがしゃらんと鳴る。
「うへっ、あたしミルちゃんの相手なんかつとまんないよお~…だって、あたし馬鹿だし!あっはっは!!」
きれいにマニキュアの塗られた爪の手を口に当て、豪快に笑い飛ばすヤヅル。
それにつられて周りの友達も、「うんうん、優等生とはかけ離れたとこにいるもんね、あんたw」「元気出せーww」と、口々に言った。
「両者、前へ!」
ミルとヤヅルが前に出て、顔を合わせる。
「うちなんかじゃ退屈かもしんないけど、精一杯頑張るから、よろしく!」
ヤヅルは手を差し出しながら、ウインクを一つ。
慌ててミルはその手を握る。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!!」
お互いの握手が済んだところで、カザキが手を振り上げた。
「これより、神威御琉対、池房夜月朧の試合を行います!!礼!!!」
「「よろしくお願いします!!」」
続く!✿
✿新キャラプロフィール✿
名前:池房 夜月朧(イケブサ ヤヅル)
ライトたちのクラスに在籍する女子生徒。
コバルトヴァイオレットのロングポニーテールが特徴で、イヤリング、ブレスレット、マニキュア等をしているため、とても容姿が派手。化粧も濃く、服装はとてもお洒落。
性格は、容姿こそ派手なものの、いたって気さくで明るく、根は真面目。友達も多く、クラスの中心的グループにいる。
名前の由来は、「朧月夜(おぼろづきよ)」。
…ヤヅルちゃん、名前と性格が微塵も一致してませんw
英検
はい。英検が間近にせまっております。
あの学校は私たちに優しくないね。
2泊3日の修学旅行→帰宅→次の日もその次の日も普通に授業(まあ、三時間目からと四時間目までだったけど。)→一日お休み→体育祭(本日)→小テストまみれ→英検
ですよ。
ひどいよねほんと。
そんなに私たちを殺したいのか。
ああ、本題からそれました。
英検です英検。
私、さっき英検CATやってきたんですよ。
…なんの問題もなく合格いたしました…
65点中50点。
ほぼ勘で50点。
逆に心配です。
うわああああああ(´;ω;`)
だれか、誰か私に英語力をッ!!
繭さん英語得意だよね!?
助けて助けて!!特進の英語全ッッッッッ然ついていけないの!!!!
そんなことを言いながらも、今リア友数人と人狼ゲームにはまって、学校でもやりたいから、という理由でついに自分たちでカードを作り出したクライスがお送りしました。
泥棒と警備員 Ⅱ
Ⅰの続編です。
「泥棒と警備員 Ⅱ」
「…」
暫くの間、目を疑う光景に唖然とし、身体が固まってしまった。
それは向こうも同じだったようで、三人で目を瞬かせている。
と…とにかくなにか言わなくては…。
そして、こいつ等は、何故僕の事を『神様』などとよんだのだろうか。
まあ…それも含めとにかく訊きたいことは山ほどある。
とりあえず、連れ出すか。
「えーっと…」
たったそう一言発しただけだった。
しかし、両端の包帯少女と黒髪少女がそれに怯え、真ん中の少女にしがみついて小さい悲鳴を上げた。
「なっ…」
なんだこいつらは…。
野獣を前にしたモルモットか。
しかしここでもたもたしては、あの悪夢のような日のようになりかねない。
だが、怯えられたままでは連れ出すのは…
しかたない。
「…逃げるぞ!!!」
そういって三人の手をつかみ上げ、強制的に引っ張りだした。
すると、案外あっさりとついてきた(顔面蒼白だったが…)。
だが、ついてきたというよりは、抵抗する力がないのでなすがままにされている、というように見え、なんだか悪いことをした気になった。
…でもだったら、あの状況で他にどうやってこいつ等連れ出せばよかったんだ。
そもそも、連れ出してよかったのか?
おそらく、こいつ等が「人間兵器」の実験台…。
僕は、今日が僕の命日にならないことを祈りながら三人を連れて走っていった。
たどりついたのは、廃墟となった立派な教会。
「ここまでくれば大丈夫…だよな。」
滴る汗に不快感を覚えながらも、拭く間もないまま、激しく酸素と二酸化炭素の交換を行う。
三人もおなじように、膝に手をつきはあはあと息を吐き出す。
「お前たちは…あの施設の実験台で合ってるんだよな?あ…悪い。わけもわからないまま走らせて…」
とりあえず謝っておくが、やはり包帯少女と黒髪少女は僕が喋るだけで肩を震わせる。
しかし、ショートカットの少女だけは一度も僕に怯えた目を向けることもなく、落ち着きを払っている。
そしてついに、少女の方から口を開いた。
「あの…助けてくれてありがとう!」
「……へ?」
まさかお礼を言われるとは思わず、まぬけな声が漏れる。
そして、少女の言葉に疑問を覚えた。
「助ける…?どういうことだ?」
頭に疑問符を浮かべ、首をかしげる。
すると少女は、自分たちがあの研究所でどんな扱いを受けてきたのか、自分たちがどんな存在なのか説明を始めた。
…少女の口から語られる事実は、聞いていて決して気持ちのいい話ではなかった。
あまりにも残酷すぎる。そんなつらい日々を、こいつらは何年も我慢して生きてきたのか…。
「そう…だったのか。ひどい奴等だな。あの施設の人間は…」
そこまで言って、自分も十分ひどい人間なのだと思い出した。
なに言ってやがる。僕にそんなこと言う資格はないだろうが。
しかし少女は曖昧に笑って、首を横にふった。
「…たしかに、あの人たちはJE4やME1にひどいことした…でも、仕方がなかったんだと思うの。だって、戦争が起きてしまったんだから…」
…馬鹿じゃないのか?
そんな目にあっておきながら、なんだって自分に危害を加えた人間まで守ろうとする?
しかし、心の奥で、じわりとなにかが緩んだ感覚があった。
僕はため息をついて3人を見据える。
…誰がみても可哀想だと言うこいつらを引き取って面倒をみれば、これまでやってきたことの罪滅ぼしになるのだろうか…
「おまえら…名前は?」
「…名前…?私はGU3だよ?」
「違う。本名だ本名。」
「…わからない。本当の名前を知る前にあの施設に閉じ込められたから…」
「なッ…」
そんなバカな…
名前を忘れたならまだしも…ってあれ…?
僕の名前…なんだっけ?
たしか、傭兵番号39番なんて番号じゃない、きちんとした名前があったはずなんだ。
飲酒で人が変わったようになって暴れるクソみたいな親父から、いつも僕をかばってくれた、優しい母さん。
そんな母さんがつけてくれた、僕の、大事な名前…
「…僕も知らない…」
「え…?」
「僕も、名前があったはずだけど、忘れた…」
「神様にも名前はちゃんとあるんだね!」
「……は?神様?」
そうだった。最初に僕を目にした時もこいつは、僕のことを「神様」といったんだった。
「なあ、その神様ってのはなんだ?僕は神様じゃないし、第一神様なんて存在するわけ…」
「そ…そんなことないよ!」
「!」
はじめて黒髪の少女がしゃべり、次いで包帯少女も口を開いた。
「神様は…いるよ。だって、私たちを助けてくれたあなたが…神様だもん。」
「そうだよ!」
「な…」
なんだそれは。
でも、たしかそんな絵本を昔読んだことがあったな。
何もしていないのに牢屋に閉じ込められた主人公を、すべてを見ていた神様が救い出してくれる話…
母さんにせがんで、小さいころに何度も何度も読んでもらったっけ。
こいつらも、その絵本を読んだのだろうか。
神様…ね。
そんなもんがいるんだったら、誰も不幸にならなくてすむんじゃないのか?
「まあいい…。なんとでも呼べ。」
「え…?呼べって…もしかして、これからも一緒にいてくれるの…?」
あ、しまった。
くそ、こうなったら…
「ぐっ…あ、ああ。仕方ねえだろ。僕が連れてきたんだし…」
ただの罪滅ぼしだ。別にお前らのためじゃない。
そう言おうとしたが、3人に遮られた。
「ほ、ほんとに!?ほんとに、一緒に暮らしてくれるの!?」
「やった!!もうこれで痛いおもいをしなくてすむんだね!」
「ありがとう神様!!」
…やっぱりこいつらは馬鹿だ。
善意があっての行動じゃないってのに、そんなに顔を紅潮させてわらいやがって…
だが、不思議と悪い感じはしなかった。
ああ…ばれたら僕はただじゃすまされないだろうな…。
まあいい。その時はその時だ。
今は、どうやってこいつらを匿いながら生活するか考えないとな。
「…と、話がそれたな。お前らの名前を決めないと。」
「え、神様がつけてくれるの?」
「親がつけてくれた名前があるんだろうけど僕もお前たち自身も知らないし…施設の番号なんかで呼びたくねえから、考えてもいいか?」
「もちろん!」
3人とも大きく首を縦に振った。
「…まずは、お前から。」
「わーい!最初だー!」
僕が指をさしたのは、包帯少女。
うーん…しかし、考えるとはいったものの、こいつらはこれからずっとその名前で暮らすわけだし…適当な名前はつけられないな。
ふと、3人の胸元についている札が目に入った。
この札からとってみるか。
えーと、包帯少女は「ME1」…。
め…メイ…?メリー…?
うーん、悩む。
1…って、Iにもみえるな。
メアイ…メアイリー
…!!
「『メアリー』…!」
咄嗟に叫んでいた。
包帯少女一瞬びくっとしたが、すぐに夢見るような瞳になった。
「メア…リー…メアリーかあ…!!かわいい!やった!ありがとう神様!!」
「お、おう…」
まさかここまで喜んでもらえるとは思っていなかった。
気に入ったようだし、よかった。
さて…次は
「次はお前な。」
「うん!」
黒髪の少女だ。
こいつの札は「JE4」…
じぇ、ジェイ…ジェーン…
ああ、ジェシーなんてどうだろう。
…だめだ。なんかしっくりこない…
…お!?
カチリと音を立てて、なにかがはまった。
「ジェシカ!ジェシカだってー!!やったあ!神様ありがとう!」
考えた名前をここまで喜んでくれるのは、悪い気はしなかった。
…さて、最後だ。
「最後はお前だな。さて…なににするかな。」
「…ほんとにいいの?」
「は?何がだ?」
「私たちを引き取ってくれるだけじゃなくて、素敵な名前まで考えてくれるなんて…」
「今更何言ってやがる。僕はお前らの神様なんだろ?…自分でいうのもあれだけど。だったらそんなことくらい構わねえっての。」
「…!!」
やっぱりうれしそうな顔した。
僕は、どーいうことを言えば相手が喜ぶのか考えてから言葉を発する。
卑怯で狡いやり方だな…まあ、それが僕だ。生まれた時から歪んでいた僕の、生き残り方。
それで結構だ。
…でも…こいつを前にすると、なんだか申し訳なくなる。
どうしてだろう。こいつがあまりにもまっすぐな目をしているからだろうか。
…と、そんな考えにふけっているひまはない。
最後にしておいた挙句待たせるのはさすがに申し訳ないからな。
こいつの札は「GU3」か。
ぐ…か。…ぐ!?
む、難しいな…
グレイス…グローリア…
だめだ。なんか、こいつっぽくない。
数字は…3。
グースリー?
グーサン…
どれもこれも気に入らず、頭の中を「ぐ」と「3」が駆け回る。
ああ、混乱してきた。
3…みっつ…み…
ぐ……み……
「『グミ』」
カチリ
「グミ…?それがわたしの名前…?」
少女がキラキラと目を輝かせる。
「ああ。グミ。これがお前の名前だ。…気に入ったか?」
グミは数回「グミ…」と呟き、顔を上げて、満面の笑みを浮かべた。
「うん、とっても!!」
こうして3人の名前が決定した。
ふーと、安心してため息をつく僕を、グミがじっと見つめる。
「ん?なんだグミ。」
「…私たちは名前をつけてもらったけど…神様は…なんてよべばいい?」
そうだ。名前を知らないのは僕も同じだった。
「あ、ああ…そうだな。…僕の名前は、お前たちが決めてくれないか?」
流石に自分の名前を自分で考えるのは嫌だな。
するとメアリーとジェシカは顔を見合わせて、にこりと笑った。
「神様は、神様だよ!!」
「神様ってよんでもいい?」
ほぼ同時に叫んだ。
少々面食らったが、まあよしとしよう。
「神様…か。まさかそんな名前で呼ばれる日が来るなんてな…。ああ、わかった。そう呼んでも構わないさ。」
「「はーい!!」」
メアリーとジェシカは上機嫌だが、グミが少し困った顔をしている。
「ほんとに、神様でいいの?ちゃんとお名前つけなくていいの…?」
こいつは心配性だな。
僕は別に構わないぞ。
「いいさ。そう名づけられたんだったら、もっと神様らしくなれるように僕も努力するさ。」
そういうとグミは満足そうに笑った。
「メアリー、ジェシカ、グミ。これからよろしくな。」
…僕の罪滅ぼしのための道具として…
Ⅲに続く